衣川晃弘大先生の見聞会講話集「21世紀を幸せに生きる」第9巻より
2017年(平成29年)5月28日 ベストグループ関東見聞会 ②
その後、四十年以上経って、当時の課長に電話をしたら覚えて下さっていました。私は信用されていたのです。課長は「あなたのような人間はいまだにいない。あなたのように嫌なことを喜んでする人、細かいことまで気配りする人はいなかった」と仰いました。
つまり、気を配らないといけないということです。私はいつもみんなのことを考えているから、人が受け入れて下さるのだと思います。表向きでは良いことをしても、陰で全然違ったことをしていては、信用をなくするのです。
これはサラリーマンだけに言えることではありません。人間性の問題なのです。人前では仕事をしている格好をしても、陰でサボっていては、信用はなくなります。人の嫌がることをするからこそ、信用を得られるのです。
私は人の嫌がることを喜んでする性格になっていたのです。「成功したい」と思って書物を読んだだけで成功するものですか。その人の人格の表れでしょう。人間性が優れなくては、どんなに素晴らしい書物を読んでも難しいと思います。
あなたたちは損得なしに人の幸せを願い、会社のことを願って働きましたか。最近の若い方や年配者を見ると、「自分が一番正しい」と思う方が多いと思います。
正しかったら、社会にどれだけ貢献しているのですか。社会に貢献している方が少ないとしたら、正しくなかったからでしょう。
「私には自分の考えがあります」と言う方がよくおられますが、その考えでどれだけ社会のために貢献なさったのですか。「あなたのために命を懸けてでもお役に立ちたい」という方は、どれだけおみえになるのですか。
自分の考えを貫いて、社会のためにどれだけ貢献なさったのですか。私は自分の考えを押しつけたことはありません。私はまず、人の意見を尊重します。自分が正しいと思っていたら、素晴らしい人間になっているでしょう。
私は今の若い方たちに伝えたいのです。若いうちに考えを固めてはいけません。若い方は、何を成し遂げたのですか。今までどれだけの苦労をしてきたのですか。
一番の苦労は、人との関係です。人との関係が上手くいく人ほど、プロ中のプロです。それには、己を捨てることが大事なのです。では、簡単に己を捨てることができるでしょうか。難しいと思います。
己の「我」が邪魔をするのです。自分の考えが固まってしまっていると、人を受け入れなくなるのです。そうすると、人を受け入れない分だけ、人も受け入れて下さらないのです。
根底精神をしっかりと持たなければ、バラバラになります。私の人格の根底には、父から教えられた、「ボーイズ・ビー・アンビシャス。人類や社会のために役に立つ人間になりたい」という精神がありました。そして、育ての母からは命や人間性、人格の大切さを教えられました。
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